何度も来る「電子書籍元年」


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何度も来る「電子書籍元年」

電子書籍元年 電子書籍は印刷技術のようにすぐに浸透した訳ではありません。
というよりも、現在でも紙の本のようには浸透していませんから「印刷技術のように浸透するかどうかはわからない」と言ったほうが正しいかもしれませんね。

たくさんの電子書籍サービス、電子書籍端末が発売された2012年は電子書籍元年と言われましたが、これまでにも何度も「電子書籍元年」と言われた年がありました。
記憶に新しいものでは2010年、初めてAppleのタブレット端末「iPad」が発売された年です。
この時点ではまだ国内には有力な電子書籍サービスがなく「自炊」による電子書籍の利用が大きく話題になりました。

しかし、この自炊も著作権の問題が起こったり手間がかかりすぎるのが不評だったりと定着には至らず、2010年は電子書籍元年とは言われたものの、一般に広く電子書籍が広まったとは言いがたいまま過ぎていったように感じます。
そして2013年現在、2010年当時に比べれば、電子書籍を取り巻く環境は大きく変わりました。多くの電子書籍サービスが始まり、手に入る書籍も大幅に増えています。

どのサービスが生き残るのか しかしそのかわりに今度は「どのサービスが生き残るのか」という問題が発生しています。

古くはレーザーディスクとビデオ、あるいはブルーレイとHD DVDのように、コンテンツを載せるメディアが複数ある場合、時として生き残りをかけた覇権争いが起こります。
家庭用ゲーム機のように複数メーカーが共存している市場もありますが、多くの場合それでも多くの人が選ぶ主流のサービス(あるいは端末)と、こだわりのある人、言い方を変えれば「マニアック」な人が楽しむための傍流という分類が事実上、生まれているのではないでしょうか。

そして、電子書籍サービスの場合はそれがまだ明確に起こっていません。どれが生き残って、どれが消えていくのかがわからない状態です。
そのことがこれから電子書籍を利用しようとする人に対して「足かせ」になっているのではないでしょうか。

誰でも自分が購入したサービスや端末に傍流になってほしくはありませんよね。

現状では電子書籍サービス、端末は各社が拮抗しているように見えるため、却ってどのサービスもなくなってしまう可能性があり、どれかにお金をかけることに踏み出せない……という人が一定数はいる気がします。
2012年が本当に「電子書籍元年」になるためには、今、各社の電子書籍サービスに淘汰が生まれ、選択の余地がなくなることが必要なのではないでしょうか。